ロック畑の人ともヒップホップ畑の人ともそれなりに会話が出来る。KATOです。
昨年とあるアーティストのライブを観に恵比寿のとあるライブハウスに行った。私はライブハウスはあまり得意ではないので、どんなに好きなアーティストの曲でも基本的に家以外では聴かない。
しかし、その日だけは違った。出演するアーティストの曲を、メロンソーダとチリドッグがあれば生きていけると思っていたケツの青い思春期から、今じゃ女の子に触れたくて何も感じなくなった現在でも聴いていて、一時期はこの細く美しいワイヤーが切れるまでと言いながらバンドを組んで客席に飛び込んでって、、もういいか。
賑わう会場。
もう20年も昔に全盛期だったバンドである。現在はソロで活動しているのだが、会場にはおそらく当時からのファンだろうと思われる人達で溢れていた。
皆同じ革ジャンにブーツで、クルクルパーマのロン毛かリーゼントという出で立ち。仕事帰りに来たのか、スーツに革ジャンというえらく半端な格好の人もいた。
長らく待たされたのち、ゲートが開けられる。皆、興奮しながら会場に入っていく。目の前には文字通り、数えきれないほどの人達。気がつくとガチガチに固めたリーゼントと革ジャンの後ろ姿が僕の視界を塞いでいた。
頭頂部は、20年の歴史が奪い去っていった青春の汗と涙と髪の毛。スダレの様なリーゼントが、動く度にスポットライトを乱反射させる。僕の位置からでは2時間もの間、その毛の隙間からしかボーカルの姿を見ることは出来なかった。でもそれがまたアーティストをよりいっそう輝いて見せたのであった。
前半、頭を振りながらノリノリで聴いている人達も、後半になるにつれ皆静かになっていく。
アンコールは二回。お決まりのパターンらしい。二回目でボーカルが言った。
「朝までやっちゃうか!」
すかさず客席から声が返ってくる。
「仕事だよ!」
昔も不良、今も不良、これからも不良なボーカルも思わず、
「そっか仕事かぁ…」と小さく漏らしていた。
そうして予定通りの二回が終わると、皆明日の仕事の為にさっさと帰っていった。
私は次の日休みだったのだが、2時間立ちっぱなしに疲れてしまったので例に漏れずにさっさと帰った。
やっぱり音楽は家で聴くのが一番かな。
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